Vol.1スーツの寿命はいつ?

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2020.11.16

全4回に分け、オーダースーツのプロが考える『スーツの捨て時』『買い替えのタイミング』について

私が捨て時と判断したスーツを参考にしながらご紹介したいと思います。

 

▶Vol.2 スーツの捨て時と判断したワケ①~③

▶Vol.3 スーツの捨て時と判断したワケ④~⑤

▶Vol.4 スーツを長持ちさせるために

 

最近多くなってきたお客様からの相談の1つが『スーツの寿命』『買い替えのタイミング』についてです。

肌寒い日が多くなり、衣替えをしたときにスーツやジャケット、パンツの劣化が気になった方が多いとのこと。

私も先日、衣替えを行った際にシーズンオフで眠らせていたお気に入りのスーツを寿命と判断し、処分しました。

 

また、コロナ禍になり、お客様の中にもリモートワーク中心の方が増え、ビジネスライフのワードローブに対する考えが変わってきたからこそ生まれたご相談なのではと思います。

 

スーツ

 

では、スーツの寿命はどれくらいなのでしょう。

一般的に、スーツの寿命は3年から4年。長くて5年と言われています。

もちろん、あくまでも目安でありスーツやジャケット、パンツの使い方、着用頻度、日々の手入れや定期的なメンテナンスで寿命は変わってきます。

逆に言えば、スーツを傷めるような取り扱いをすれば寿命は短くなってしまうということです。

 

スーツのパンツ

 

まだまだ着られると思っていても、実は寿命が近づいている可能性も。

愛着のあるスーツやジャケット、パンツとの別れは名残惜しいものですよね。

1着を大切にケア、メンテナンスしながら何十年と長く着る方もいれば、ガシガシとヘビーローテーションし、ワンシーズンで買い替える方など、明確な寿命は人それぞれ。

 

例として、クリーニング賠償問題協議会が制定した『クリーニング事故賠償基準』(https://www.zenkuren.or.jp/wp-content/uploads/2016/07/jikobai.pdf)というものがあります。

クリーニング業界だけでなく、消費者団体、繊維業界、弁護士、行政など、様々な観点から定められた基準法です。

クリーニング事故賠償基準にある『別表1:商品別平均使用年数表』では背広、スーツ、ワンピース類の項目に

・夏物 絹・毛 3年

・夏物 その他 2年

・秋冬物    4年 

と載っています。

『平均使用年数とは、衣類などの使用開始から、その使用をやめるまでの平均的な期間をいいます。

たとえば、衣類などの使用をやめる理由としては、流行の遅れ、着飽きた、似合わなくなった、サイズが合わなくなったなどの理由も含まれているので、平均使用年数は単なる物理的に使用不可になるまでの期間(いわゆる耐用年数)とは異なります。』

と記載されていました。

スーツの平均使用年数は2~4年という事なので、使用してから3年を経過しているスーツに関しては買い替えを検討する必要があるかもしれませんね。

 

ちなみに私は今回、こちらのフランネルスーツ(平均使用年数表では秋冬物に位置づけられている)を捨て時と判断しました。

 

スーツ

 

 

スーツパンツ

 

こちらは私が捨て時と判断したスーツです。

秋冬にしか着用していないとはいえ、オーダーをしてから2年半が経過しています。

職業柄、お客様の採寸や体型補正によるピン打ち作業などで膝をついたり、屈伸運動が多いためにパンツの劣化がみられます。また、ジャケットを着た状態でのワークスタイルなので、特に腕周りへの負担が大きく見受けられました。

加えて、汗をかきやすい体質なので、ウエット・ドライ共にクリーニングの回数が重なり、身頃パーツと芯地の劣化状況から捨て時と判断しました。

 

例えば、ビジネスシーンにおいては第一印象が非常に大切です。

いつも最高の自分を演出するために清潔感のあるスーツ姿はとても大事なことですよね。

これは、zoomなどによる画面越しの姿も同様ではないでしょうか。

私も、お店でお客様を迎えるにあたり清潔感を気にする一人です。

 

それでは、スーツやジャケットにおける清潔感とはなにか。実は、清潔感とスーツの寿命には深い繋がりが。

ビジネススーツは、適切なメンテナンスと使い込まれていくことで味わいと格好良さが出てくる革製品の靴などと異なり、使えば使うほど使用感が出て味わいが出にくいものです。

中には、ツイード素材の様にユーズド感を楽しめる素材もございますが、ビジネスシーンではそうはいきません。

 

ここで、私が捨て時と判断したオーダースーツの細やかな点をご紹介したいと思います。

まずは、2年半で劣化が進んだ理由について、大きく分けて3つあります。

 

1つ目は、『過度な着用頻度』です。

通常であれば、1日着たスーツは少なくとも3日は休ませるようにしています。

今回は、気に入っていたということもありますが、試験的に着用頻度を上げ休ませる回数を減らし、スーツの劣化具合を調べてみたかったというものです。

スーツは1日着ると、汗を吸ったり生地が摩擦で傷んでしまいます。

回復できるダメージもありますが、毎日のように着用し続けるとダメージが蓄積されてへたりやすくなってしまうのです。

同じ時期に同じようなクオリティの生地でオーダーしたスーツより劣化速度は速く型崩れが起こり始めていました。

 

2つ目に、『クリーニング回数』です。

通常であれば、生地の風合い劣化のを防ぐため、1シーズンに1回するかしないかの頻度です。

着用頻度の高いお客様からは数ヶ月に1度は出していると聞いたことがありましたので、今回は2か月に1度、ウエットとドライクリーニングの両方に出してみました。

一般的なドライクリーニングで使用している溶剤は、ウールに含まれる油分も取り除いてしまい、繊維を傷みやすくしてしまいます。

※Ginza Tailor CLOTHO(銀座テーラークロト)が推奨するクリーニングについて、詳しくは下記のLINKから

 3分で解る!~クリーニングの注意点・歴史を解説~

 ▶ドライクリーニングと水洗いクリーニングを比較~実験してみた!~

 ▶水洗いクリーニングの思わぬ落とし穴とは…!

 スーツのプロが提供する最高のメンテナンスを。

 

3つ目に、『アイロンによるプレスメンテナンス』です。

通常、私はオーダーする際にシロセット加工をオプションで付けています。なので、生地を傷めないように着用後はブラッシング+風通しの良いところに干し、一定の湿気を与えるために霧吹きをしてシワの戻りを待ちます。

その上で、数回の着用ごとに1度、弊社(GINZA TAILOR本店)のアトリエにあるスチームアイロンのプレス専用機で時間をかけて低温プレスをします。

※シロセット加工の効果を最大限に引き出すための湿気方法についてはコチラ

 最強キープ!ビジネスマン必須のパンツの折り目が取れないシロセット加工の原理を解説

 

そこで今回は、家庭アイロンに近い温度で着用毎にプレスをしてみました。

必要以上の高温でアイロンプレスをしてしまうと、熱と圧力によって繊維が潰れてしまうことがあります。

同じクオリティの生地でオーダーしたスーツに比べて、次第にシワの戻りが弱くなりはじめ、プレスをあててもくたりと野暮ったさが残るようになってしまいました。

フランネル素材なので分かりにくいのですが、アタリ(生地のテカリ)が強くなり消えづらくもなりました。

 

以上のような経緯で、スーツの劣化が目に見える状態になってしまいました。

次回はスーツを捨て時であると判断するポイントをご紹介いたします。

ぜひご参考下さい。

 

 

 


 

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