ブラッシングする上で知っておきたい! ~スーツと生地の知識~

TRIVIA
2020.06.27

 

ブラッシング連載第二弾!

前回は、ブラッシングの効果と必要性についてお話ししてきました。

 

早速ブラッシングの流れとコツ・ポイントをご紹介していきたいところですが…その前に今回は、スーツの構造や生地についての知識をお話ししていきます。

ブラッシングの実践に入る前に少しでも頭に入れておくことで、役に立つかと思います!

 

 

スーツの生地

 

まず知っておきたいのは、生地(繊維)には動物の毛並み同様に毛の向き(流れ)があるということ。そして、毛の向き=生地の向きということです。

 

 

スーツの生地

 

 

スーツの生地

 

 

表面に毛羽立ちのある生地はわかりやすいですが、表面がつるっとした生地にも「向き」があり、我々テーラーではその「生地の向き」に沿って一方向で生地を使用(裁断)し、スーツやジャケット・パンツを組み立てていくのです。

 

生地の向きを一方向で合わせて使用(裁断)する事は、あたりまえのことと思われる方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、この使い方、実はすごく贅沢なことなのです!

 

なぜならば、一方向で使用(裁断)すると、生地に余りの部分が多く出てしまうから。

 

柄物(チェックなど)であればなおのことです…!

柄の出方をパーツ毎で左右同じようにし、さらには、パーツ同士を組み合わせる時には縫い目の部分で柄がつながるようにする。

我々オーダースーツショップでは、これを『柄合わせ』と呼びます。

当たり前のように見えて、とても高度な技術が必要とされることなのです。

 

 

チェック柄のスーツ

 

 

既製品や安価な商品では一方向で生地を裁断せず、余り部分が最小限になるように、パターンを上下逆さまでぎゅうぎゅうに使用し生地の長さを短くしてコストカットを図ることも多々あります。

これを我々は、『差し込み』と呼んでいます。

 

この部分を割愛し製造された商品は、生地の柄をあまり気にせずパーツを製作し組み立ててしまうので、完成したときにはどこか不格好に見えてしまいます。

また、生地(繊維)の向きを揃えずに縫い合わせた商品は負荷の掛かり方が均一にならず、毛並みもバラバラのため劣化速度にも大きな差が生じることでしょう。

 

 

このように、生地を一方向で使用しているか否かでもブラッシングのかけ方は変わってきます。

 

 

スーツの生地

 

 

 

また、我々Ginza Tailor CLOTHO(銀座テーラークロト)のオーダースーツでは「くせ取り」といい、縫製の前段階で生地に下処理を行っています。

 

「くせ取り」とは…アイテム身体のラインにある程度沿わせて、フィット性と綺麗なシルエット作りをするように組み立てる為のアイロンワークです。

平たく言うと、真っ直ぐである生地(繊維)の方向を意図的且つ部分的に曲げ(カーブ)させて、湾曲を作り出すのです。

 

このくせ取りは、主にフルオーダー(ハンドメイドスーツ)などで行う下処理ですが、その程度や手順はお店により異なります。

裁断する際にも体の凹凸に合わせて曲線上にひかれた線を裁断しますが、生地は平らで切断線がカーブしているだけです。

これをそのまま組み立てても形にはなりますが、立体的に湾曲している身体に着せると、不自然なシワが出てしまいます。

 

 

前もって生地へ人間の体の湾曲に合うシワを作ることで立体的なシルエットを形作る工程が『くせ取り』ということです。

 

 

その部分が色濃く出るのが、ジャケットなら、背中の肩甲骨周辺・「細腹(サイバラ)」と呼ばれる脇のパーツ・細腹と縫い合わされる前身の脇・後身の脇周辺です。

 

パンツなら、前身のモモから下と後身になります。

人間の脚は、太ももは前後に膨らみ(肉)がついているのに対し、ふくらはぎは後ろ方向のみに膨らみ(肉)が付くため、その曲線に合わせつつ綺麗なフォルムを出すようにくせ撮りを行います。

 

 

縫製の前段階である下処理の為、縫製途中を見るほうが分かりやすいのですが…仕上がったスーツでも柄の向き(方向)や着心地で多少はお分かりいただけるかと思います。

 

 

さて、ここまで述べてきたところでお気づきの方もいらっしゃると思いますが…ここで伝えたいのは、ブラッシングをする時、ジャケットやパンツを単純に上から下に向かってかけては意味がないということです。

 

 

次回はようやく、ブラッシング実践編。

各アイテムの各パーツ毎に、どのようにブラッシングをかけていけば良いのか、写真付きで解説していきます。今回の記事でお伝えした、「生地(繊維)の方向」「身体にフィットさせるための湾曲」というモノを念頭に置いて読んでみてください。

 

では、次回もお楽しみに!

 

 

 


 

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