最強キープ!ビジネスマン必須のパンツの折り目が取れないシロセット加工の原理を解説

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2020.05.17

 

前回、【同じスーツでも色のトーンで変わる印象比較】の文末で簡単に触れたシロセット加工について、いくつかお問合せを頂いたので、本日はより詳しくご紹介いたします。

 

オーダースーツを着た男性

 

まず、加工についてのご説明の前にスーツを着ているビジネスマン、プリーツのあるスカートをお召しのキャリアウーマンの皆さま、パンツの折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツが無くなってしまった時どのようにされていますか?

 

その、折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツが無くなったのを目安に『クリーニングに出す』『アイロンがけをする』『ズボンプレッサーにかける』等の方法が多いのではないでしょうか?

 

どれも正解です!

 

しかし、ドライクリーニングに出せば皮脂や油汚れは落ちますが、汗はドライクリーニングでは落ちません。

また、油分を抜くドライクリーニングを頻繁にするとウール(羊毛)本来の油分も抜けてしまい劣化の元となります。

 

なぜ、劣化の元となってしまうのかについては後日として。

 

アイロンがけやズボンプレッサーは、日常のメンテナンスとしては良いのですがご自身で折り目、プリーツを作る為のアイロンがけやズボンプレッサーは完成度も低く、非効率。

時間と労力を掛けてせっかく付けた折り目も時間の経過とともに弱くなり、急な雨に降られてスーツが濡れてしまうと消えてしまいます。

 

さらには、『ラインが元の位置にかけられない』『二重のラインになる』『熱によって生地がテカってしまう』などのリスクもあります。

着るたびにアイロンをしないと折り目がもたないので手間もかかります。

 

近年、天気予報にはなかった急なゲリラ豪雨など突然の大雨に見舞われることも多々。

傘を差してもビショビショに濡れ、ビジネスマンがスーツを濡らしてしまった場合は着替えることも脱いで乾かすことも出来ず、そのまま着続けて自然乾燥をする。

すると、パリっとしたパンツの折り目、プリーツが消えてしまいスーツの醸し出す風格や清潔感、シャープでドレッシーな雰囲気、立体感と奥行きがなくなります。

 

そんな時に限って、『大切なプレゼン』『人と会う約束がある』『セミナーや講演で壇上する』なんて困った経験はございませんか?

 

「たかがパンツのラインでしょ!そんなに気にしなくても...」なんて考えは、スーツを着ているビジネスマンなら持ちえませんよね。

 

スーツの画像

 

『折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツのないパンツを履いている』=『戦闘服ともいえるスーツのお手入れさえできない、だらしない人』と見られてしまいます。

 

オーダースーツを着た男性

 

そこで必須となってくるのが、パンツが濡れてしまっても乾けば折り目、プリーツが復活する『シロセット加工』や『リントラク加工』といった加工方法です。

 

そもそも、なぜ折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツは消えてしまったのか?

 

それは、スーツ素材に圧倒的な割合で配合されているウール(羊毛)の特質です。

ウールは水に弱い繊維で、元々シワやゆがみを戻そうとする性質があるからです。

水である雨がウール(羊毛)の生地にしみ込むことで元々あった折り目、プリーツが繊維の膨張と復元によってリセットされた状態になり、消えてしまいます。

 

もう少し詳しいメカニズムを解説いたします。

 

折り目の付きやすい水分量と温度、プレス(熱)を加える最適な時間が存在し、折り目、プリーツを作る方法は3種類あります。

 

プレス(熱)仕上げ

シロセット加工

リントラク加工

 

アイロン掛けをする男性

 

プレス(熱)仕上げは、家庭でも可能な最も馴染みのある方法です。

 

しかし、アイロンで折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツをつけても『すぐに弱くなってしまう』『プロやクリーニング店のような仕上がりにならない』といった経験があるのではないでしょうか?

 

それは、上記で触れたように折り目の付きやすい水分量と温度、プレス(熱)を加える最適な時間が存在するからです。

では、なぜ水分量や温度が影響するのか。それは、ウールの繊維分子構造の関係です。

 

ウールやコットン(綿)などの場合、分子構造の一種で酸素原子と水素原子で形成される「水素結合」が存在します。この「水素結合」により折り目、プリーツが出来上がりますが「水素結合」には弱点があり、水中では結合が切断されてしまいます。

水に濡れることで水中と同じ状態になり、結合が切断されて折り目が消えた状態に。

乾燥することで再び結合されますが、それは折り目がない状態での結合であり、乾いた後に折り目が無くなっているのはそのためです。

この素材の特質を利用し、一度濡らしてからアイロンの熱で水分を飛ばすことで水素結合を起こし、折り目、プリーツを作ります。

 

さらに、水分量については公定水分率というある一定の環境下で繊維が吸湿する水分量の値があり、この工程水分率以上の水分を与えることで水素結合による折り目、プリーツが生まれます。

 

これがプレス仕上げの原理となります。

 

オーダースーツを着た男性

 

シロセット加工は、衣類にかけるパーマの様な加工です。

 

実際に髪にかけるパーマの原理を応用して開発されました。

薬品で生地を柔らかくし、アイロンで折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツをつける方法です。

 

シロセット加工の施されたパンツ

 

ウールの生産が盛んなオーストラリアのオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)によって開発された特許技術でウール製品の形状記憶をするために生み出されました。

 

日本では約年前に紹介されました。その後、1983年に全国シロセット加工業協同組合が設立され、世界で最も安全で信頼される折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツ加工を築き上げました。

 

その加工剤の主成分は医薬品や食品にも使用される天然アミノ酸である・システインを用いた加工液で、ウール繊維に噴霧し蒸気プレスをすることでウール分子間の結合を半永久的に再配列します。

パーマのように癖を付け、形状を保ち、ウール本来の機能性や着心地・色・柄には影響があまりなく、環境とエコロジーに配慮された加工です。

 

シロセット加工液を生地に染み込ませ、水素結合とは異なる「シスチン結合」という本来持つ強い結合を切断します。

この「シスチン結合」は、素材のタンパク質に働きかける作用があり、水の影響を受けにくい性質があります。

 

スーツの生地

 

①の【プレス加工】では「シスチン結合」が残った状態の為に折り目が元に戻ってしますが、シロセット加工液(パーマの際に付けるパーマ液のようなもの)によりこの結合が切断されることで、繊維のタンパク質同士の結合を柔らかくします。

そして、適切な水分量を与えた状態で折り目を作り、熱を与えることでタンパク質同士の結合、すなわち「シスチン結合」を再結合させます。

 

生卵をゆでると硬いゆで卵になるのは、そのタンパク質の性質を利用しているからです。

 

すると、折り目の形状を保持した「水素結合」以外に「シスチン結合」も同様に形状を保持した状態になり、水に濡れて「水素結合」が切断されても「シスチン結合」は形状を維持、これが【シロセット加工】です。

繊維そのものの形状を変えているので、雨に濡れたりシワができても折り目がすぐに消えることはなく、折り目がキープされ「形状記憶」された状態となります。

 

シロセット加工を施された折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツは、70度の熱湯に30分浸しても消えないため、雨などでパンツが濡れて繊維が膨み、シワが出来たとしてもハンガーに吊るして自然乾燥させれば、折り目は元に戻ります。

 

パンツであれば裾を上にして、スカートであればウエストを上にしてハンガーに吊るしておくだけで充分ですが、着用による目立ったシワがついてしまったり、パンツの折り目が少しあまくなってしまった時は吊るした状態でたっぷりと霧をかけそのまま自然に放置しておくと着用ジワも消え、シャープで綺麗な折り目が復活します。

 

ウールの風合いを損なわない自然な仕上がりで、ウールの製品やウール混率が高い製品の場合には優れた効果を発揮しますし、ドライクリーニング処理や水洗い処理後の耐久性にも優れている為、折り目の持ちも良い特徴があります。

 

長時間椅子に座ってお尻に長く敷かれてしまい、折り目も薄くなりがちなデスクワーカーや、替えのスーツを多く持っていくことが難しく、畳んで持ち運ばなくてはならないような出張の多いジェットセッターの方々、折り目があまくなってしまったパンツは全体的に立体感と奥行きを失い、だらしない印象になるため、きちんとスーツを着こなしたい方にオススメの加工方法です。

 

プレス仕上げとは異なり、モノによりますがシロセット加工はワンシーズンから1年、クリーニング回数にして3回程は持続するとされています。

 

個人的には最もオススメの加工です。

 

スーツの生地

 

リントラク加工は<ザ・ウールマーク・カンパニー(旧国際羊毛事務局・IWS)>によって開発された専用樹脂を生地の裏側に塗布する加工です。

 

生地の表面ではなくパンツを裏返しにして折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツにそって樹脂付けをします。

 

パンツを表に返し自然乾燥させると樹脂が固まり、生地を固定することで折り目の形状を保つ加工方法です。

濡れて繊維が膨らんでも、シワがよっても樹脂で固定されている為、乾かせば折り目は元の形に戻ります。

天然成分を用いているので人体や環境にも影響がなく、ドライクリーニング処理や水洗い処理後の耐久性にも優れている為、折り目の持ちも良い特徴があります。

 

スーツの生地

 

一方で、樹脂で固定するため折り目が鋭く、ストレッチ性の効いた素材やベルベット、モヘア等の繊維が固いもの、透けやすいもの、薄地のもの等は樹脂が表面に出てくる為、加工ができません。

さらに、生地自体が弱くなっている場合は、リントラク加工の効果が低くなる場合があります。

モノによりますが、リントラク加工はシロセット加工同様にワンシーズンから1年、クリーニング回数にして3回程は持続するとされています。

 

よって、はっきりとした折り目(センターライン・クリースライン・センタープレス)、プリーツをつけたいものはリントラク加工が◎。

ウール製の衣類で、ふんわりと折り目をつけたいものはシロセット加工をするのが良いでしょう。

 

つまり、少なくとも年に4回加工をすれば日々の面倒なパンツプレスからは解放され、より良いビジネスライフ、そして休日を過ごすことができるのではないでしょうか。

 

これらの特殊加工はあくまでも『生地の加工』であって『生地の復活』ではありません。

スーツは何もしなくても、日々傷み続けるものでクリーニングや特殊加工によっても傷みます。

 

スーツにブラシを掛ける男性

 

 

そこで必須となるのは、日々のブラッシングと風通しの良い陰干しです。

 

たった数分のブラッシングでホコリや付着物を落とし、生地の風通しを良くすることができますし、風通しが良くなると繊維が早く乾燥するため繊維のほつれも抑えられスーツが長持ちします。

 

高級なスーツに限らず、日々のケアをすることでリーズナブルなスーツでも長持ちをすればその分着数が増え、着回しにもつながるため、最終的なコストパフォーマンスも変わってくるのではないでしょうか?

 

オーダースーツを着た男性

 

『最良のビジネスライフを送ることで人生がより豊かになる』そんなモチベーションがGinza Tailor CLOTHO(銀座テーラークロト)の掲げる信条、『BESPOKE YOUR LIFE』と共にありますように。

 

Ginza Tailor CLOTHO(銀座テーラークロト)では、

上記のシロセット加工を¥2,000+TAXにて承ります。

ご希望の方は、オーダー時、メンテナンス(クリーニング)受付時にお伝えください。

 

スタッフ着用スーツ

INNES CHAMBERS-L.GRY ¥185,000+TAX

※本国直接買付け特別プライス~2着限定~ ¥100,000+TAX

※カラー違い L.GRY/D.NVY あり

 

 

 

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